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ダンディな人を求めて30歳で日本を旅立ち、ジョージクルーニー夫と出会いメキシコに落ち着く。メキシコ生活8年目。

メキシコの帽子はソンブレロだけではない!Jipijapa帽に注目してみよう!

メキシコと言えばドンタコスのCMゆえ“ツバ広ソンブレロを被った髭セニョール”のイメージ。ドンタコスもはや20代には知られていない気もしますが…それでもまだまだそんなメキシコのイメージが先行しているのは否めません。 

Jipijapa帽とは 

日本でも知られているパナマ帽と同じです。パナマ帽で一番有名なのがエクアドル。素材であるパナマ草の原産地でもあります。そんなパナマ帽がメキシコでも作られています。メキシコの素材はJipijapaと呼ばれ、スペイン語ではSombrero de Jipijapa。

帽子の町・Becalへ! 

ある日の我が家でのホームパーティでジョージクルーニー夫の帽子を見て食いついた帽子好きの友人。よく観察し「どこで買ったの?」などと根掘り葉掘り聞いている友人を横目にホームパーティのあれこれをしていたあの日から数ヶ月。メキシコを旅立つその帽子好きの友人は最後のメキシコ旅の目的地としてメリダを選出。もう一度訪れてみたいレストランがあったので私も便乗することに。彼女はその旅の目的を“帽子”としました。私はただの付き添い、そのレストランに行ければOKなのでその他はどこへでもお供致します! 

レンタカーを借り美しい高速道路を進み、メリダ州を越えてカンペチェ州に入るとすぐにBecalに到着。メリダのセントロから車で約1時間。想像していた以上に何も無さそうな町へ着きました。そして9月のユカタン半島は日本の夏同様気温35度の高湿度。とりあえず帽子の町を象徴するモニュメントのある町の中心へ向かうも暑いので誰も歩いていません。この町の観光客は間違いなく私たちだけ。帽子屋らしきものもないしレストランもタコス屋台すら存在しません。“せっかく来たのに…友人にとって最後のメキシコ旅なのに…こりゃどうしたこっちゃ…”などと心で思っていたら、トゥクトゥクおじさんが現れ「ここ興味ない?」と帽子工房の写真を見せてくれました。ナイス情報! 

Jipijapa帽が出来るまで 

お店に入ると陽気なセニョールが歓迎してくれました。工房を見せてあげるよ!とお店の奥の美しい中庭へ案内をしてくれました。そこにはこの帽子になるJipijapaが植生しています。

簡単にJipijapa 帽が出来るまでを紹介します。まずはセニョールがJipijapaを刺繍針で細かく裂いていきます。次にJipijapaを窯で茹で白色に抜いていきます。窯から出して乾かすと少しハリが出ます。その後編むためにJipijapaを湿気で水分を含ませて柔らかくします。そこでユカタン半島の天候と土地柄が活かされています。セニョールの家には洞窟があり、中は外より涼しく更に高湿度。編む1日前に洞窟に入れて柔らかくします。先人の知恵を感じてこの話を聞いた私はこの帽子づくりにグッと興味が湧きました。その後セニョールの奥様が実際に帽子を編んでくれました。この作業は2日間。頭で考えるより手が覚えているかのような美しい手さばきに見惚れてしまいました。 

現在4世代目のセニョールたちは9歳の頃から職人の道へ。このBecalでは28家族がこの仕事に就いています。暑い季節はやはり観光客が少ないためストックは少なく、これからやって来る繁忙期に向けて編む日々とのこと。 

その後お店にて4つの型の帽子を色々見せてくれました。友人は購入を決めてこの地へ来ているので真剣にチェック。私も幾つか被ってみて、ひとつぴったりと私の頭にハマるものが!もちろん買いました。 

Jipijapa帽の良さ

驚くほど軽くて紙のような触り心地。そして暑い中被っても蒸れない!!これは今まで気付きませんでしたが、本物を知り買ってよかったなと思った最大の要因。そしてこんな紙のようで繊細に見えますが、折りたたむことが出来ます。折りたたむ前にお風呂の蒸気などで柔らかくしてからがおススメ。丁寧に扱えば30年持つ。こんな優れたメキシコの伝統工芸品に目を向けていなかったとは…まだまだ深味しかないメキシコ。

品質の良さは網目の細やかさで決まります。編み始めから細かく美しいのが良品。私にぴったりとした帽子は700ペソでした。お店の中で一番お得な金額ですが立派ですよ!しかし網目や仕上がり具合を見ると友人の購入品とは差があります。私のはツバ部分で一点網目を間違えているのが見受けられました。友人のものはノーミス! 

自宅を出る際には全く購入予定がなかった為、記憶に全くなかったジョージクルーニー夫の帽子。帰って速攻確認(上写真)。恐ろしく美しい細かい網目!私のものと全然違う!今更ながら詳しく聞くと夫は約15年前にこの美しい帽子を購入。Jipijapa帽としては3つ目で、言わばJipijapa帽のベテランだったのです。一つ目は折りたたみまくってダメにしてしまい、少しずつグレードアップしたとのこと。夫はハッキリと金額を覚えていないのですが、15年前で2,000ペソ程。今回の旅では700ペソ~4500ペソと幅がありました。メリダやカンペチェのセントロだと2倍の金額。今回の買い物には大満足ですが、製作過程と歴史を知りもう少しいいものを買おうとしている私。すっかり虜になってしまいました。

並べると雲泥の差。