時間薬とはよく言ったものだ。身近な大切な人を見送るのは人生で初めてだった。人生とは生きてみないと本当の喜びも悲しみの深さも分からないものだ。コントロール出来ない自分の感情と出会ったのも初めてで、時間によって癒しを許し得た。
ということで父の命日に奄美大島へ行くことにした。父の姉妹が我が家を訪れた時、偶然に父の希望の最後の晩餐は‘’鶏飯‘’だと教えてもらった。鶏飯が奄美大島の郷土料理だとその時知った。海のアクティビティへの興味が薄いため、奄美大島へ行くなんて思っていなかった。
1日目: 奄美大島の旅

LCCの直行便であっという間に到着。オフシーズンで往復1万円という破格に驚いた。辿り着いた空港は冬でも最高気温20度で本土とは違った植物が生い茂っていて、気持ちのいい風が吹く。どことなくメキシコと似ている既視感が漂う。初めて来たとは思えない懐かしさが身体中から溢れ出てきた。
到着日が父の命日だった。この旅の最大の目的を第一に完遂すべく、狙っていた『みなとや』に空港からバスで向かった。お店に到着すると見たくない文字が見えた。【臨時休業】だ。島の洗礼!どう見たって観光客は少なかったし、こんな洗礼どってことはない。こだわり過ぎると人生は面倒になるので、1日の差なんてケセラセラ。

バスは2時間に1本のため、数少ない近所のお店を見て回る。奄美大島のローカルプロダクトのお店で器や紅茶などを購入。腹ごしらえのため入った『ちゃいるど』は島ごはんとは行かずとも地元の人でいっぱい。ポークジンジャーに外れはない。

空港に戻ってホテルの方にお迎えに来て頂く。私ペーパードライバーのためレンタカーもなし。こうやってお迎えがあるのは本当に有難い。東京23区と同じ大きさの島のため、エリアによって雰囲気が異なる。折角だから奄美大島の美しいエメラルドグリーンに癒されたいとMiru AMAMIを予約。
Miru AMAMI

全室オーシャンブルーで美しいホテル。オフシーズンゆえ特に平和な滞在だった。部屋からも受付・レストランからも穏やかな海が見える。部屋もコンパクトながら洗練されていてどこもかしこも完璧でThe日本。レストランの食事は夕食を頂いた。ホテルレストランですごく美味しい!というのは出会ったことがないのだが、こちらは本当に美味しかった。スタッフの半分は本土からの若い移住者とのことで、こんな美しい青を毎日見れるなんてナイスチョイスとエドはるみばりに親指グーを送る。欠点がひとつもない素晴らしいホテルだった。



ちなみに今回奄美大島に行ったと友人たちに話をしたら、かなり多くの友人が訪れたことがあってビックリ。建築家一家の友人はここに宿泊したそうな。これまたお洒落!
https://den-paku.com/portfolio-item/kominka#amami
2日目:金作原とマングローブと鶏飯
The奄美大島を体験するためにツアーに参加。9時集合17時解散1人12,000円、これまたホテルピックアップ、ドロップアウトである。メキシコシティのソチミルコで朝焼けを見て朝ご飯を食べるツアーが現地集合・4時間程で2万円を超えていたことを考えると驚きと感謝しかない。
自然遺産である金作原は貴重な植物があり、認定ガイドがいないと辿り着けない場所である。初めて見る植物たちに静かに興奮。地球って面白い…!



その後ツアーに組み込まれていた鶏飯を食べに『鳥しん』に案内される。父の最後の晩餐を食す瞬間だ。美味しく頂こうとほんのりしんみりした気持ちで食べ始めると、目の前の夫が納得がいかない顔をしている。鶏飯はちょっとした豪華なお茶漬けで、ランチとして食べるには栄養もカロリーも足りない。正直な夫の顔を見て笑ってしまう。焼き鳥を追加して夫も満足、私もひとつ供養を完了した。メキシコでもっと美味しい鶏飯を毎年作ってみようと小さく決意。

マングローブのカヌーは満潮に近い時間に行われる。カヌー熱を帯びていた私はこの瞬間を楽しみにしていた。自然の音しかしないマングローブを進んでいく。何て優雅な時の流れ…とはいかなかった。久しぶりに乗るカヌーで私は運転が下手だった。コツを掴むまでに時間を有した。それでも穏やかな川の流れと何十年何百年を経て大きく育ったマングローブに包まれ、奄美の人が大切に守ってきているこの自然に禅を感じて癒しを受け取った。こんな時私は日本人であることを大いに認識する。カヌーを終える最後の直線で先行している私に夫が「Mite!Mite!」と小さな声で叫んでいる。注視するとそれはカワセミだった。艶やかな青色のカワセミが美しく舞っていた。海外移住以前日本に30年も住んでいたのにカワセミを見たことがなかった。両親が好きな鳥についに会えて嬉しい。



ホテルに戻って、ホテル前のビーチで沈みゆく美しい夕日を見た。夜は満天の星が輝いていた。人生はなんて美しいのだろう。
3日目:田中一村の作品と対面
ホテルの自転車を借りて近くの『CAFE安処』で朝ごはん。人生で初めてふわふわ卵焼きサンドを食べた。ボリューム満点で夫も気に入っていた。夫に「メキシコで作って欲しい」と言われたけれど、卵をいくつ使っているのかを想像すると怖くて、未だにレシピを検索できないでいる。お店の目の前にあったタンカンの木は大きな実をつけていた。ひとつ100円で販売されていたので購入してホテルで剥いて食べると果汁たっぷりだった。日本の冬は美味しい柑橘系が沢山で嬉しい。


ホテルの方に空港手前の田中一村美術館まで送って頂く。田中一村は50歳を過ぎて奄美大島へ移住し生涯画家として生きたが、生きているうちに彼が願うような美術評価を得られなかった。死後評価され、昨年東京で開催された美術展も大盛況だったようだ。父が残した沢山の本の中に埋もれていた絵集を見て必ずこの目で見たいと決めていた。儚い気持ちにさせられた。絵から匂いが感じられる、土の温度や風の冷たさがわかる、私はこの情景も風情も知っているんだ。海外にいるとカッコいい音楽やアートに出会って興奮することもあるけれど、こんな風に私の情緒を掻き乱し落ち着かせることはない。同じ風を知っているアーティストの作品はこんなにも寄り添えるものなんだ。



夕方発の大阪行きのフライトに乗って奄美大島の旅を終えた。私的にはひょんなことから降り立った奄美大島。そのうち日本移住してメキシコが恋しくなった時、きっと私は冬の奄美大島を訪れると思う。とても気に入った。



























要予約・1時間15分ツアー・2025年10月現在1人600ペソ(本日レート4,904円)。ただインスタの写真のために行くにはもしかしたら物足りないかもしれません。なぜならWabiというコンセプトが実直に表現されていてとても朴訥とした雰囲気が漂っています。実際に今回のツアーに参加していた




























