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ダンディな人を求めて30歳で日本を旅立ち、ジョージクルーニー夫と出会いメキシコに落ち着く。メキシコ生活8年目。

初めて韓国文学を読む–82年生まれ、キム・ジヨン–

ずっと気になっていた一冊をようやく読んでみました。韓国文学を読むのは初めてです。

82年生まれ、キム・ジヨン/チョ・ナムジュ

キム・ジヨンは物心ついた頃から感じていた“女と男の差“。社会に出ると余計に露呈する男女の差からくる理不尽さに違和感を感じながらも一生懸命戦う。しかしあることをきっかけに心のバランスを崩していく…どの時代も女だから、男だから論に翻弄され戸惑いながら生きている。幸せであるということはどういうことなのか。

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2016年発表、韓国でべストセラー。韓国コスメやエンタメなど文化には興味があるものの、あんまり韓国社会のことは知りません。かつて韓国社会派映画「トガ二 幼き瞳の告発」を見た時の衝撃は今も忘れられません。この映画によって新たな法律が制定されたと聞き余計に心に響きました。(この映画めちゃくちゃオススメです。コンユ様も素晴らしい演技!)そんな韓国で社会現象になった一冊を読む時、あの時の衝撃と興奮再び?とワクワクして読み始めました。

私は83年日本生まれ、海を超えた国で彼女とほぼ同じ年代を生きてきました。“後継者は男であるもの“という社会概念の下、女性として生まれた瞬間から生きづらさを纏って生きていく主人公の葛藤には理解を示すことが出来ます。しかし私は共感する部分が見当たらず、こういった感覚に鈍いタイプであることを実感しました。幼少時代に感じた違和感を呼び起こそうと思いましたが、全く思い出すことが出来ませんでした。

主人公が感じる女性であることですでに人生のハンディキャップを背負っている、そのハンディキャップに負けじと一生懸命人生の駒を進めるも、“出産“という女性にしかできないことを“スタートに戻る“という駒にしてしまう社会。主人公の夫への言葉「それで、あなたが失うものは何なの?」、理解をしてくれない夫に絶望を感じたに違いありません。

ヨーロッパでは、長い歴史の中のフェミニズムの戦いによって男女の差が縮まってきているもののアジアはまだまだ。物事を考える時、相手を理解しようとする時、性別ベースにしてはいけないのかもしれません。私は夫と向き合う時にはメキシコ人だからこうと決めつけないようにしています。相手の自己肯定感を尊重する、そんな人生の課題に丁寧に付き合っていきたいものです。

追伸:フェミニズムを語るには私には知識不足で意識不足であると実感。昔「世にも奇妙な物語」で見た佐々木希主演の「美人税」。通常美人はチヤホヤされておごられているから生涯通じて得をしている、彼らに高い税金を払ってもらうべきだという話。本を読みながらこの話を思い出しました。