家族になる人に必ず読んで欲しいと思っていた本が、東野圭吾著『手紙』。
初めて読んだ時から、私にとって祈りのような一冊。
手紙
東野圭吾著。2003年単行版発表。
兄弟2人暮らし。兄は出来のいい弟の大学進学費用のために老婦人の家に空き巣に入るも、老婦人と鉢合わせて思い掛けずに殺してしまう。その事件をきっかけに兄弟の人生は思い描いていたものと真逆に進んでいく。犯罪加害者視点の心情が描かれ、家族の在り方を問う。
ベストセラーで、映画も有名。
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夫と結婚する時に、読んでもらおうとスペイン語版と英語版を検索。
しかしヒットせず、見つけることは出来ませんでした。
日本の悲しいニュースや不倫騒動で、家族やパートナーが謝罪しています。家族に罪を犯す者がいたら、その家族の人生をも大きく変えてしまいます。
そんな日本のニュースを見て、夫にあーだこーだと説明をするとポカンしていました。そして夫から一言。
「なぜ本人以外の家族が謝らなきゃいけないの?」
メキシコはカトリックが80.8%(2018年調べ)で、家族の繋がりがとても強いです。誕生日などのお祝いの日には親戚まで何十人もが集まってパーティーをします。そんな家族の団結に重点を置いているこの国で、意外だった個人主義観。
夫に聞きました。
私:「もし、もし、もし、家族の誰かが犯罪を犯したら、あなたは仕事を辞めなくても大丈夫なの?」
夫:「…(少し考える)多分辞めないんじゃないかな。」
この『手紙』観は日本の文化であり、世界共通ではないから英語翻訳がされないのでしょうか。
日本の教育では“人に迷惑をかけてはいけません““連帯責任“など、集団の中で協調性を持つことを学んできました。家族という単位は特に分かりやすい所属先で、いいことも悪いことも共有する運命共同体。
私はこの考えがとても好きですが、きっと夫は「手紙」の文章を理解しても、同じような気持ちで解釈することはないのでしょう。
本が好き過ぎて、山田孝之も好きだけれどもまだ映画を観ておりません。